救急車に乗る。あるいは本厄への序章。前編
メリークリスマス。
今日は生まれて初めて救急車に乗りました。
朝カテキョウ先に自転車を走らせていました。
わりと狭い車線で、前方を走っていた白い車の脇をすり抜けようとしたところ…。
ジャンパーに何かひっかかった?
と思った刹那、天地がひっくり返って、
ズデーン!
気がついたら地面に頬ずりしてました。
一応意識はあるし立ち上がってみて体のふしぶしが痛い。
なんか周りにはおばちゃん連中が集まってくるし、恥ずかしい…。
さっきの白い車は「大丈夫かな…?」みたいなかんじで僕の様子を見てたんですが、僕が立ち上がったのをみて安心したのかそのまま走り去って行きました。
その瞬間。
「ひき逃げよー!」
騒ぎ出すおばちゃん連中。
「アイツ逃げた!」(まぁそうだろうな…)
「あたしナンバー覚えてるわ!」(よく見てるなぁ…)
「とっつかまえてとるもんとんなきゃだめよ!」(別にかすり傷だし…)
「あたしオマワリさん呼んでくる!」(ちょっと待て!)
ぼーっとしている間に僕は交番に連行されました。おばさんたちに。
興奮して我先に警官に証言するおばさんたち。ひき逃げ事件のいっちょあがり。
うーん、下町のおばさんたちはヒマなんだなぁ…日曜の朝だしなぁ。
「ナンバー****、車色は白、○○方面に逃走した模様、手配お願いします」
警察無線にすっげー物騒なセリフ流れてるし!
「まぁとりあえず救急車呼びましょう、頭打ってると大変だし」
おまわりさんに言われましたが僕ホントにかすり傷だけなんです。
そう言っても聞いてくれません。平和な日曜日の下町の朝、サイレン音が聞こえてきました…。
いや、てか自分の足で救急車のステップあがれるしさ。
血圧も血中酸素濃度も脈拍も正常だしさ。
救急車に乗ってたった30秒、ご近所の病院に到着。
ぴんぴんしている僕をみてドクター苦笑い。湿布2枚張っただけで放免されました。
診察が終わって受付で待ってると看護士さんがやってきました。
「すいません、診察料なんですが、今日1万円お持ちですか?」
「…は?」
一瞬ホンキで親切なおばちゃん連中とおまわりさんを恨みました。だけどよくよく話をきいてみると「交通事故の診察はとりあえず一律1万円を病院に預ける」そいで「示談なり決着がついたら実際の診療代をさっぴいて患者に返す」んで「実際の診療代は当事者同士で話し合って折半する」とこういうことらしい。知らなかった。
ただし交通事故の診察代は3割負担でなく10割負担です…。おまけに今は時間外。
メリークリスマス。