Nuovo Cinema Paradiso

トトくんはいま・・・



銀座でデジタルリマスタ版の記念上映見てきました。


映画見てこんなに泣いたの初めて。
蛇口壊れたみたいに涙でてきて自分でもびっくりした笑。ハンカチスタンバイしてなかったから終映後はひどい顔してたんじゃないかと思う。


子供のころ何度も金曜ロードショーとかで見て「なんじゃこら」と思ってただけでした。でもそれなりに歳をとると映画の見方が全く変わるもんなんだ…実感しました。(てか映画に限らず本とかレコードでもそうですね)


あと今回なんでこんなにキちゃったかって、劇場上映だったからっていうのが大きいんじゃないかしら。


劇中で映画が上映されるシーンでは、まず観客越しにスクリーンを写して、それからズームして直接映画のシーンを写す、といった手法によって、劇中の観客とリアルの観客があたかも同化するような錯覚をおこします。つまり監督は、観客が劇場の座席で見ているという状況を積極的に活用しているんじゃないかな?単純だけど感情移入度はハンパないです。特に最後のアルフレードの形見のフィルムを上映するシーン。


それとやっぱり子供時代をローマで過ごしたことも関係あるのかな。


作品中でトトは30年ぶりに故郷に帰ってくるわけだけど、僕も高校生のときほぼ10年ぶりにローマを訪れてみました。ローマでは小学校の恩師と古い友人が迎えてくれました。街もほとんど変わっていないし、小さいころの記憶で地図なしで歩けました。


通っていた日本人学校を訪ねてみたときは甘酸っぱい記憶が一気によみがえってきました。ほとんど変わらない外観。でも校長が代わって、学校の規模も段違いに大きくなって、中身は見知らぬ学校になっていました。そして今では学校は他の場所に移転してしまいました。まさに僕にとってのNuovo Cinema Paradiso。


子供トトの時代も、青年トトの時代も飛び越した今だからこそ、劇場で見れて本当に良かった。


ただ。
前述の映画の上映シーンといい、アルフレードに「ノスタルジーに惑わされるな」という言葉を吐かせながらノスタルジーを武器に観客を号泣させるとこといい、この作品では二重性・背反性がいくつか見られます。「映画全盛時代を賛美するノスタルジー映画」や「壮大なオマージュ」みたいなよくある売り文句は単純にすぎるよね。
結局トルナトーレは、フィルムの中の虚像に感情移入してワンワン号泣している僕を皮肉っているんじゃなかろーか、というのはうがった見方にすぎるんでしょーか(笑)


(今回の上映版よりさらに長い完全版があると教えられてレンタルビデオ屋にいってみたけど貸し出し中…エレナのその後が描かれているらしいのでドキドキしながら返却を待っています)